
機動警察パトレイバー2 the Movie
1993/日本 監督:押井守 脚本:伊藤和典
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『ビューティフルドリーマー』でも『攻殻機動隊』でも、押井守と言う人は、その枠を借りて自分の世界を展開する。今回は前作以上に押井世界の我が強い。原作ファンは怒るだろう作りだが、哀しいかな、私は「面白い」と思ってしまった。ごめんなさい。
押井守が世間様で評価される一つとして、「時代の先見性」を挙げる場合が多い。そしてこの映画も、流行と一番疎遠な価値観を持ちながら、時代を的確に映し出す力量を持っていた。
これが上映されたのは、10年前。阪神淡路大震災も地下鉄サリン事件も、9.11も起こっていない。ただ、国連の自衛隊派遣の話題で沸いており、後藤と荒川の台詞は、それを揶揄してるのかと思った。しかし今改めて見返すと、この10年と言う時代の、あらゆるネガティブな出来事を内包しているようにも思える。
この映画が、そういうものだったのではなく、自分達の目が、映画を通して時代を観るだけなのだが、P2という映画は、その視線に十分耐えうる力を持っている。
押さえに押さえた演出から滲み出るのは、あらゆる対比の物語。日常と非日常、戦争と平時。現実と空論。デジタルとモノラル。肉眼で見るものとモニターの景色。そして、それらを縫うように語られるすれ違う愛。再会と決別。ただ、セルアニメーションでの長回しは、実写と違って画面に奥行きがない分、ひどい退屈を強いられる。それを承知で撮り、観る側も承知で観る以上、一種の闘い(葛藤)を強いられるのはやむを得まい。
押井ワールドで語られるものは一貫している。難しい理屈や設定に惑わされることはない。彼の語るテーマは永遠に変わることはないだろう。
余談:カラオケに入って、機種がハイパージョイサウンドなら、「愛を眠らせないで(歌:MANA)」をリクエストしてみよう。この曲専用に編集されたプロモーション画像は、びっくりするほど出来が良い。私も入るたびにリクエストして、歌を忘れるほど見入ってしまう。ある意味映画よりお勧め。
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