2005/日本 監督、脚本:三谷幸喜
三谷幸喜は、人間観察の天才です。クリエイティブな作業を行う上で、人間観察は必要だけど、彼は飛び抜けてます。眼鏡の奥から、人間というものを腹の底まで透かし見てる眼力は怖い。でも、「所詮人間ってこんなもん」と簡単に見切ってない。そこがいい。「人って、しょぼくて、せこくて、見栄っ張りだけど、そんな人間って、実はとても愛すべき存在なんだよ」と、画面を通して、あったかい気持ちが伝わってくる点が一番好きだ。「期待に応えて予想を裏切る」突き離し方もいい。べたべたせず、かといって突き放しすぎず。「粋」だと思わせる距離感の取り方も絶妙。
物語の収束力と笑いの爆発力は『ラヂオの時間』の方が上。こっちの方が、カタルシスを得られるのは確か。でも、話の複雑さと、画面から伝わる緊張感は『有頂天』が格段。これだけのエピソード、これだけの俳優をまとめ上げた力量はスゴイを通り越してる。カメラワークも役者の立ち位置も、緻密に計算されて、しかもさりげにロングショット。カメラと役者がダンスしてるようですホント(笑)
一言で言っちゃうと、「三谷幸喜って恐ろしい」に尽きます。「人を楽しませたい」と言う情熱は衰えがないし、その一点において全く妥協してない。そこが、恐ろしい。だから、心おきなく楽しいと言える。
三谷幸喜の脚本は、やっぱり三谷幸喜自身が監督しないと魅力は出ないなあ。舞台観たいな、と改めて思った一本でした。
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