2001/日本 監督、脚本:宮崎駿
千と千尋の神隠し (通常版) | |
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何だかんだ言いながら、映画館で二回観た。高いところへ登るのと、空中飛行は宮崎作品のお約束やねと思いつつ…。
千尋の成長の物語…らしいのですが、私が見る限り「成長」ではなく、「もともと主人公が持っている『千尋という命の力』が目覚め、前進する課程を見せた」だけだと思った。
この映画は、ある意味「何も残らない映画」ではあった。『ナウシカ』のような苛烈さも、『トトロ』のような素朴さも、『紅の豚』のような男の無邪気さも、『もののけ』のような生きる事の罪深さもない。
ただ、一言では語れない、訳の分からないものの存在。その、存在そのもののが大きな魅力となっているのは確かだ。しかも「ストーリー」とか「説明」とか「世界観」とか、そういう小手先のものではない気がする。
千尋が、おにぎりを食べながら泣くシーンが好きだ。
神様の食料を口にし、豚にされた両親を助けられるのは、自分しかいない。怯えても怖がっても、誰も助けてくれない。ハクは優しいけど、決して甘えることは出来ない。今までの生活を捨て、新しい世界で生きようと決める瞬間。
「ここで腹括って生きていかなければ、他に望みがない」と、突きつけられた現実を受け入れる。千尋の涙は、腹を括った人間だけが見せる涙。絶望かもしれないし、一縷の望みに全てを託す不安かもしれない。実は誰にでも、こういう瞬間ってあると思う。
そんな「異世界に迷い込んだ女の子が、両親と大好きな男の子を助けるためがんばる話」に、大きな意味も重りも必要ない。「何故、この世界があるのか」とか「湯婆婆と銭婆の関係」とか「カオナシ」とか、その存在理由をあえて説明せず、千尋の見える世界のみで構築したストーリーだとすれば、理念やら理想は無駄に重くするだけだろう。
たまにエコロジーを訴えるように見えるシーンもあるが、どちらかと言うと「人間達が増えて、神様も普通に住むのが大変やねえ」で淡々と終わる。
この湯屋の客も住人(神様)も、住む場所を壊されたからと言って人間に仇なそうとか、これっぽっちも考えてない。湯婆婆はお金と坊が最優先だし、千尋の面倒を見るリンは、街へ行くことを夢見る。人間が思うほど、神様達は人間に構うヒマはない、ということか。
異世界と積極的に関わる話でない以上、物語は広がりを持てない。作者も、異世界同志の大きな交流を目的として、物語を作ったとも思えない。あえて広がりを捨てた以上、ある程度の大きさでまとまり、収まるのは自明の理。なので、大作と称されつつも小振りな感じにまとまったのは否めない…が、これはこれで良いと思う。
可もなく不可もなく。でも、ジブリ独特の動きとテンポに酔うのも悪くないかな。と言う感じです。
余談:
巷でよく囁かれる「湯屋はソープランドで、千尋は風俗に売られた女の子」の解釈。私はありだと思います。
子供嫌いの友人は、千尋が大嫌いだそうです。「頭でっかちで、手足がひょろひょろして頼りない。全然魅力がない」と酷評します。でも、「自分がここまで嫌いになれるんだから、『“今どきの子供”としての千尋』のキャラクター造形は成功してると思う」とも評価します。
行きと帰りのトンネルで、母親が千尋に「そんなにくっつかないで、歩きにくいわ」と邪魔そうに言うシーン。甘えん坊で我が儘な子供を持つ母親が言う台詞だと、妙に現実味を感じました。私自身、母親によく言われていましたから。
余談2:
映画館で二度も楽しんだひとつに、ジブリしか出せない色彩がある。時に優しく、時に鮮やかな色彩のひとつひとつは、それだけで観に行く価値があると思わせるに充分。
だから、DVDの赤味が本当に納得できない。「淡い赤紫色の空に浮かぶ淡いピンク色の雲」を観て、昼間のシーンだと思えるだろうか。ちなみにTVで放映された時も赤っぽさが抜けてませんでした。これで貫き通すきらしい…。アメリカで発売されたDVDでは、色は正常だと聞く。あの美しいジブリカラーを再び観るには、映画のリバイバルを待つしかないのだろうか。
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