
風の谷のナウシカ
1984/日本 監督、脚本:宮崎駿
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今から20年も前の映画である。
当時でも完成度の高さは驚きだった。滅びを目前にした時代の疲弊感。トルメキアの猛々しさと対比する風の谷の豊かさ。もの悲しく気高い音楽。高レベルで安定した作画力。それらが紡ぎ出す物語。「漫画映画は子供が観るもの」の常識を大きく覆した、革新的な映画だったのだ。
上映されて20年以上経つが、今観ても新鮮な輝きを失わない。たいていの場合、時代の流れに呑まれ、どこかに古くささや時代遅れ感を宿すものだが。宮崎駿の作り出すキャラデザインの普遍性と、扱ったテーマの恒常性に今更ながら「うーん、すごいなあ」と唸ってしまう。
当時、まだ未完成だった原作から必要なピースを取り出し、繋げられたこの映画は、これでうまくまとまっている。蟲への憎悪を秘めたクシャナや、したたかなクロトワが面白い。人間味溢れる彼らがいるからこそ、ナウシカと言うキャラも引き立つ。ナウシカを無条件で慕う城のじい達が、「火は、全てを滅ぼす」と、とつとつと話すシーンは印象深い。
『ナウシカ』の原作コミックが完成されたのは、上映後十数年経ってから。美しいアニメと違い、酸鼻を極める現実にナウシカは生きる。破壊に次ぐ破壊、殺戮に次ぐ殺戮の果てに描かれた、かすかな希望。人々を愛し、王蟲=生命そのものを慈しむが故ナウシカのついた、“嘘”の重さ。「アニメと原作、どちらが好きか?」と聞かれれば、「どちらかと言えば、原作」と答える。あの、情け容赦のない描写が好きなのだ。
でも、これをこのままアニメにして欲しいとは思わないし、成功するとは思えない。仮に原作そのままの話を映画にかけたとして、果たしてこれほど人々に受け入れられただろうか。
娯楽映画としての枠を崩さず、それ以上のものを提供した、職人としての宮崎駿の手腕は、確かに素晴らしい。上っ面だけの美しさ、謳われるテーマの説教臭さに口を尖らせる点も否めないが、それらを超えて『魅せる動き』に引きつけられても良いと、私は思う。
メーヴェの飛翔感だけで、軽くご飯三杯いけるのだ。すでに完敗なのだよ(笑)
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★久石譲の傑作

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